元数学教員・奉孝先生の「数学の欠点9割脱出法」

数学がすごく苦手だという高校生に、少しでもテストで点を取れる喜びを味わってほしいと始めました

関数とグラフの形

 グラフをかくときに、式の形が分かると、グラフの形もある程度分かります

 このことを知れば、正解の確率が全くないということも減りますので、今日はざっくり説明したいと思います。

 まず、数学Ⅰの範囲で出てくる関数の種類をまとめておきます。

   

 4だけy=の形になっていませんが、2次関数の学習のときに出てくるので書いてあります。とりあえず今は、y=の後の式がどんな式かで、関数の呼び名とグラフの形が決まるということを知っていただければよいです。では順に式とグラフの形を見ていきましょう。なお、グラフの中にある数字はグラフをかくときに示す数字ですが、今は無視しても構いません。(のちにグラフをかく際に、この数字が必要ですと説明します)

 

 

 y=の後の式が、2x-1(aパターンの場合)など、xの1次式で表されているものを1次関数と言います。一般的には、y=ax+bの形で表します。(なお、( )内は、aは0でないという意味です。a=0だと、0xとなって1次関数にならない。次の2次関数も同様の理屈です)

 このように、1次関数のときは図のように、斜めの(傾きのある)直線のグラフになります。

 また、aとbでは傾きの方向が違います。(aパターンは右上がりの直線、bパターンは右下がりの直線)このことも、実際にグラフをかくときに説明しますので、今は1次関数では斜めの直線のグラフということだけ知ってください。

 

 

 y=の後の式が、x^2-2x+2(aパターンの場合)など、xの2次式で表されているものを2次関数と言います。一般的には、y=ax^2+bx+cの形で表します。(^は~乗を表す記号です。文章では表しにくいためです。ご了承ください)

 2次関数は、前回のブログで説明した通り、放物線のグラフになります。

(念のため確認をしたい方は、↓ を見てください) 

関数のグラフ - 元数学教員・奉孝先生の「数学の欠点9割脱出法」

 また、aとbでは放物線の向きが違います。aパターンの形を下に凸、bパターンの形を上に凸と呼びます。なお、凸は「とつ」と呼び、出っぱっているというイメージでとらえてください。また、どちらの形になるか見極める方法がのちに出てくるので、形と用語を頭の隅に残しておいてください。非常に重要な概念として出てきます。

 

 

 xが何も出てきてないのに関数?と思った方もいるかもですが、これは、xの値がいくらであってもyの値が一定という対応を持つ関数です。この例だと、xが0でも1でも3でもー4でもyは2ということになります。ちょうど、y=の後が数字なので定数関数といいます。この場合はy軸に垂直な直線となります。

 

 

 今まではy=の形だったのに、x=の形で奇異な印象を持ったかもしれません。3のパターンの逆で、yが0でもー1でも4でも、つまり、yの値はいくらでもxの値は一定の数字(この場合はー1)になるということです。グラフの形は、x軸に垂直な直線です。

 これは、xが決まると…というより、xはー1しかないので、yはxの関数ということはできません。

 ただ、この直線のグラフは、「2次関数の軸の方程式」というところで、今後大切な役割を持ちます。「軸」および「軸の方程式」という言葉だけでも知っておいてください。のちに役立ちます。

 

 今回は、関数の形とグラフの形を関連付けられればOKです。

 

 

 

関数のグラフ

 では、いよいよ関数のグラフをかいていきましょう。

 数学Ⅰの範囲でかかれるグラフの多くは、xが決まるとそれに伴ってyが決まる。yはxの関数と呼ばれる形で、y=(xの式)で書けます。(y=f(x)と書くこともある)

 そして、グラフをかくときは、xの値をいくつかとって、そのときのyの値を計算して点をとり、その点をつないでグラフをかく。という流れでグラフをかいてきたのではと思います。では、次の関数のグラフをかいてみましょう。

  

 (注意:今後、この関数は文章中でy=x^2と表現します。^は~乗を表す記号です。)

 なお、この関数はy=の後の式が2次式になっているので、2次関数と言います。

 これからやっていく関数のほとんどは2次関数です。

 まず、グラフをかくために、xの値をいくつか決めてyの値を求めます。

 +の値、-の値をバランスよくとるために、x=ー2,ー1,0,1,2のときのyの値を代入して求めます。

 代入ですから、文字xを( )に変え、数字をあてはめましたね。やってみます。

   

 次に、対応に合わせて通る点の座標を決めます。

 x=ー2のとき、y=4なので、通る点は順にとって(ー2,4)とできます。

 以下同様に、(ー1,1),(0,0),(1,1),(2,4)です。

 これらの点を図示しましょう。(図1)

 (図1)

 

 

 次は、とった点を結びます。

 ですが、ここで注意点があります。

 グラフというのは、すべてのx,yの対応によってできた点の集合です。

 ですので、今とったx=ー2,ー1,0,1,2だけの対応でできた点をそのまま結んでしまうのでは本来不十分です。(という表現にさせてください。今後進む中で、関数の形によって、あるポイントをおさえれば対応をとって結べばグラフがかけるということを説明します)

 要は、下図(図2)のように単純につないではいけませんということです。

 (図2)

  

 ですので、xの値を整数だけでなく、もっと細かく小数の値でも計算して点をとってみました。それが下図(図3)です。

 (図3)

  

 すると、点を結んだ形は直線より、なめらかな曲線にみえるのではないでしょうか。

 この点を結んだのが次の図(図4)です。

 (図4)

  

 これで、y=x^2のグラフがかけました。 

 この曲線の形を放物線と言います。ものを投げるときにできる曲線ということです。

 一般的に2次関数のグラフは、放物線になります。

 次の(図5)を見てもらえれば、グラフが整数の値だけでなく、xのすべての点をとってつなげたというイメージが伝わると思います。

 赤の直線が整数の点だけつないでしまったもの(図2パターン)、黒の曲線が正しいグラフです。違いがお分かりでしょうか。

 (図5)

  

 今日は、2次関数のグラフは放物線になるということ、グラフは本来、すべてのxとyの対応からできた点を結んだものということを知っていただければ幸いです。






 

 

 

 

象限とOK牧場

 タイトルに「象限」という聞きなれない言葉が出てきました。

 これは「しょうげん」と読みます。

 x軸とy軸で、平面は次のA~D、4つのゾーンに分けられます。

 正方形の折り紙を縦横に1回ずつ折って広げれば、4つの正方形が折り目に沿ってできてます。を想像するとよいかもしれません。(折り目がちょうどx軸、y軸)

   

 そして、A~Dのゾーンにはそれぞれ名前がついています。それが順に、第1象限、第2象限、第3象限、第4象限です。下の図のようになります。

   

 この数字の順番は、右上を第1象限にして、そこから反時計回りに数字が増えていきます。反時計回りに違和感があるかもですが、数学では反時計回りが基本となります。特に数学Ⅱ以降を勉強する人は覚えておくとよいです。

 ところで、第〇象限の下に(+,+)というように( )と2つの符号が書かれていますが、点の位置と、x座標・y座標の符号に関係性があるということです。次の図を見てください。

   

 点Aは、第1象限のゾーンにいます。このことを、Aは第1象限の点といいます。

 ここでAの座標を見ると(3,2)です。x座標もy座標も+ですね。

 その他の点も第1象限の点なら、すべてx座標もy座標も+になります。逆に、x座標もy座標も+になる点なら、その点は第1象限の点ということもできます。

 第4象限の(+,-)はx座標が+、y座標が-になっているということです。実際、点B(2,ー4)は第4象限の点で、前述の条件を満たしています。

 なお、点Cのように軸上の点は、第〇象限の点とは言いません。原点も同様です。

 ここまで言っておいて、

 

 ところで皆さん。

 突然ですが「OK牧場」って知ってますか?

 プロボクシングの元世界チャンピョン、ガッツ石松さんの愛用語のイメージが強いかもしれません。

 ただこの言葉は、心理学用語にあります。

 自分や他人をどうとらえているかという状態を、次の図のように、自分軸・他人軸をクロスさせてできた4つのゾーンのうち、今の自分はどうとらえているかに使われます。

   

 理想は、第1象限の位置にあたる「自分も相手も受け入れられる、OK」というともに+の関係ですが、自分の状況によって、第2象限の位置にあるような自分をさげすんでしまったり、第4象限の位置にあるような他人を見下す気持ちになるかもしれません。

 ここで大事なのは、「自分も相手もOKでないといけない」わけではありません。あくまで、今の考え方にこういう傾向があるかなあと考えて、じゃあひととどういう接し方をしたらいいかな。と考えるきっかけになればいいだけです。ちなみに私は臨床心理士の端くれですが、理想的な心の持ちようになったことはほとんどなく、「私はOKでない、あなたはOK」でものをとらえることが多いです。

 象限の話から心理学の話にいきましたが、数学で学んだことと普段の生活の間につながっているものがある。と少しでも思っていただけたら幸いです。

 

 


 


 

 

平面座標の点のとり方(2)・方眼がない場合

 前回説明した通り高校数学では、グラフをかきなさいと言われたとき、方眼を使うことはほとんどありません。

 ですので今回は、方眼のない状態での点のとり方を説明します。

 なお、このかき方(特にかく順番)は私の見解です。他の教員は違うかき方を言うかもしれません。そのときはすみません。

 あと、かくときには最初、定規を準備しておき、1目盛り1cm分など基準を持っておくとよいでしょう。慣れればフリーハンドでもかけるようになります。

 

 では、点(3,2)をとってみます。①以外は、そのステップでする部分が赤で示しています。

 ①まずは、x軸、y軸、原点Oをかきます。(座標の考え方が横→縦なので、x軸からかくほうがよいです)

   

 ②次にx座標の数字を読みます。x座標は3ですので、原点から右に3(cm)のところに目印をつけて、その数字(3)をかきます。

   

 ③目印をつけたところから、縦方向にy座標2(cm)の分進み、その地点に点をかきます。

    

 ④とった点から、x軸方向、y軸方向に点線で垂線をかき、y座標の数字をかきます。完成です。

    

 点以外に必要なものは、x座標とy座標の数字、あと点からx軸、y軸方向にのびた点線です。点から伸びた点線の先に数字をかくと思っていただければOKです。

 なお、次のようにどちらかの座標が0の場合は、0でないほうの座標の数字だけ書けばよいです。例を出します。

 

 (例1)(ー2,0)

  

 x座標が0でないので、x軸上にx座標がー2となるところ(原点から左に2)に点をとり、x座標の数字ー2をかけばよいです。

 (例2)(0,ー4)

  

 y座標が0でないので、y軸上にy座標がー4となるところ(原点から下に4)に点をとり、y座標の数字ー4をかけばよいです。

 なお、原点(0,0)をとるときは、x軸とy軸の交わった(十字のところ)に点をとるだけでよいです。数字の記入は必要ありません。

 この説明で点はとれそうでしょうか。

 なお、数直線のように1目盛りずつ目印をつけなかったですが、これは、座標の数字が大きくなることを想定してかきませんでした。(次の図のようなグラフなど)

   

 y軸に25目盛りかくのはしんどいですからね。

 あとグラフは、必要な点の座標の数字がかけていればよいので、その点からも方眼や細かすぎる目盛りを使わないというところがあります。慣れるまでは大変かもしれませんが、今日の内容を参考に、方眼がなくても点をとれるようにしましょう。

 

平面座標の点のとり方(1)・方眼がある場合

 座標の読み方を学んだので、今度は点を図示する方法です。

 原則は変わりません。

 ①横(x座標)→縦(y座標)の順に動く。

 ②+となる方向(x座標→右,y座標→上)を覚えておく。ということです。例を見てみましょう。まず、A(3,2)です。

 大事なことは、x座標とy座標の符号を確認して、原点からどちらの方向に動くかをおさえることです。x座標・y座標ともにーがついてないので、+ということが分かります。念のため、符号もつけて動く方向を分かりやすくしましょう。

   

 まず前の数字、x座標の符号は+ですから右、数字が3ですから、右に3目盛り進みます。最初は下の図のように、原点へ指をおいて、右に3目盛り進めてもかまいません。(図はイメージです)

   

 これに続いて、後の数字、y座標の符号は+ですから上、数字が2ですから、上に2目盛り進みます。下の図のように、同様に指を使って動かしてかまいません。

 最後に移動したところに点とAをかいて完成です。(下図参照)

  

 

 なお、答としてはこれで問題ないですが(今日の練習問題もこの形で答えてよいです)、今後はこのような方眼がある形で座標をとらないケースが圧倒的に多いので、次の図のように、かいた点からx軸方向、y軸方向へ垂直な点線(赤点線と青点線のことです)をかいておくと、次のステップにスムーズにつながると思います。

   

 今後は次のような形(次図参考)になるということです。今は、こういう感じで対応する数字や点線をかくんだな。というイメージでかまいません。別の機会に書きます。

   

 もうひとつ、今度は軸上の点の練習をしてみます。B(0,ー2)の場合です。

 まず前の数字、x座標は0なので横方向には動きません。最初は下の図のように、原点に指をおいてもよいでしょう。

   

 これに続いて、後の数字、y座標の符号はーですから下、数字が2ですから、下に2目盛り進みます。もちろん、指を使って動かしてかまいません。

 最後に移動したところに点とBをかいて完成です。(下図参照)

   

 

 なお、y座標が0の場合は、横方向に動かしたところに点をとればよいです。(練習問題でやってみます)また、方眼を使わない場合の点のとり方は、下の図のようになります。0でないほうの数字をかけばよいです。点線は不要です。これも今は、こういう感じでかくというイメージを持つだけでよいです。

   

 では、点を図示する練習問題です。今日は、方眼がある形でかいてみましょう。

 (練習問題)次の各点の座標を図示しなさい。

 A(1,3),B(ー1,1),C(ー2,ー1),D(2,ー3),E(-3,0),

 F(0,2)

   

 

 (答)