元数学教員・奉孝先生の「数学の欠点9割脱出法」

数学がすごく苦手だという高校生に、少しでもテストで点を取れる喜びを味わってほしいと始めました

横→縦の考え方を使う例

 座標は、横→縦の順で考えるということを言ってきましたが、普段の生活の中にも、横→縦の順番で考えるものが多いという話をしたいと思います。

 

 自分の趣味の話で恐縮ですが、将棋についてです。次の図を見てください。

 将棋の盤と駒があって、上と右にそれぞれ数字が書いているのがお分かりでしょうか。(なおこれは実際の将棋盤ではなく、将棋のデータ管理に使われるソフトから引用しています。Kifu for Windowsです)

 

    

 みなさんの中には、将棋のテレビ番組などで、「先手、2六歩」など駒が動いた場所を読み上げる声を聞いた方もいるかと思います。これは、どう駒が動いたかというのが分かるようにするためのものです。(棋譜といいます)

 将棋のプロや、アマチュアの高段者なら、盤に駒を並べなくても、この棋譜を聞くだけでどう駒が動いたかを、脳内で再現することができます。棋譜を聞いてその結果、盤面がどうなりましたかと言われても、盤に並べられます。

 図は、飛車の前の歩を1マス動かした状態ですが、この状態を示すのに、横に並んだ数字・2のところと、縦に並んだ漢数字・六のところの重なった地点(歩が白くなっています)に歩が動いたので、「2六歩」と表現します。

 横→縦の順で読んでいることが分かります。

 

 次は、皆さんも授業等で使う表計算ソフトの画面です。

 

 四角で囲まれているセルはC2セルとなりますが、やはり横のアルファベット→縦の数字という順で読むので、ここも「横→縦」の原則は守られています。

 今回はあげませんでしたが、数学で用いられる多くの例で、横→縦の順に考えるというものは多いです。他にも横→縦の順で考えるものはあると思うので、見つけてみてはどうでしょうか。

 


 

 

 

座標の見方(2)・x軸上・y軸上の点の表し方

 点を座標で表すやり方を、前回話しました。

 基本を復習します。

 

 ①横,縦の順でみる。横がx座標、縦がy座標。

 ②x座標は原点より右が+,左が-、y座標は原点より上が+,下が-。

 ③(〇,△)のように数字を( )で囲む。

  

 念のため確認したい方は、↓ を見てください。

座標の見方(1)・基本形 - 元数学教員・奉孝先生の「数学の欠点9割脱出法」

 

 今日は、少しこれまでと違った例を見てみましょう。下図を見てください。

  

 点Aはx軸のところ、点Bはy軸のところにあります。

(それぞれ、Aはx軸上、Bはy軸上にある。と言います)

 このような場合も、横→縦の順にみるという原則は変わりません。Aからいきます。

 原点からAに行くには、横に右方向(+)に3目盛りです。x座標は3です。

 次に縦方向ですが、動かす必要はありません。

 動いてないときは0にします。したがって、y座標は0です。

 組み合わせて、A(3,0)となります。

 

 次にBです。

 まずは横方向。原点からBに行くために、横へ移動する必要はありません。

 動いてないときは0にする、ですのでx座標は0となります。

 次に縦方向です。下(ー)に2目盛りですので、y座標はー2です。

 組み合わせて、B(0,ー2)です。

 

 点がx軸上、y軸上にあっても、横→縦の順に読む、動かないときは0。の原則をおさえれば大丈夫です。では、軸上の点の座標を答える練習です。

(練習問題) 次のA~Dの点の座標を答えなさい。

   

 

 (答)A(4,0),B(0,2),C(ー1,0),D(0,ー3)

 

座標の見方(1)・基本形

 今日から、グラフをかくために必要な点のとり方について説明していきます。

 関数は、x=〇のときy=△のように、xの値1つに対してyの値1つが対応しています。つまり、xとyの数、2つを組み合わせます。

 これまでのような横方向1つだけの数直線では、1つの数字のことしか表せません。

 そこで、横方向と縦方向の2つの方向の組み合わせで対応を表そうと考えました。

 それが次の図にあるような座標平面です。方眼紙のような格子になっています。

 まず、いろんな部分の名前を覚えましょう。

   

 そして、次の原則を覚えましょう。

 グラフをかくときの点については必ず、の順で考えます。

 「横・縦」、「横・縦」…と呪文のように繰り返してもかまいません。

 絶対に覚えましょう。では、座標平面を構成する大事なものの説明です。

 横方向に右に矢印がついた直線があります。これをx軸といいます。

 小学校では横軸と呼んでいたものです。

 数直線と同じで、右に行くほど値が大きくなります。右方向が+です。

 次に、縦方向に上に矢印がついた直線があります。これをy軸といいます。

 小学校では縦軸と呼んでいたものです。

 y軸は、上に行くほど値が大きくなります。上方向が+です。

 いったんまとめておきます。

 

 ①横方向・x軸→右方向が+ ②縦方向・y軸→上方向が+

 

 次に、x軸とy軸が十字で交わったところがあります。

 この交わったところを原点といいます。この原点が基準となります。

 原点から、まず横方向にどれだけ動いたか、次に縦方向にどれだけ動いたかで点の座標を表します。では、例を見てみましょう。

 

   

 まず点Aです。

 分かりにくければ、数直線でやったように原点に指をおいてみましょう。

 そしてAにむけて、まず横方向に進みます。

 右に3目盛りなので+3です。

 右に3目盛り進んだところから、縦にどう動けばAにいけるかみます。

 上に2目盛りなので+2です。

 最後に横、縦の順で次のように、( )で数字を囲って表します。

 A()と書けば、点Aの座標を表せました。(+の記号は省略します)

 なお、前の数字(この場合3)のことをx座標

    後の数字(この場合2)のことをy座標と呼びます。

 点Aのx座標は3、y座標は2。という言い方をします。

 

 今度は点Bの座標です。

 原点からBに行くには、まず横方向に左2目盛り、上4目盛りです。

 横の左方向は-なのでx座標はー2、縦の上方向は+なのでy座標は
 この順に( )で囲って、B(ー2)と表せばよいです。

 方向のこともまとめておきましょう。

 x座標:右→+,左→- y座標:上→+,下→- 

 座標は( )で囲うこと(忘れる人多いです)、(横,縦)の順ということ、どちらに進めば+かを覚えていれば大丈夫です。では、練習問題です。

 (練習問題) 次のA~Dの点の座標を答えなさい。

   

 

 (答)A(2,3),B(ー3,2),C(ー2,ー1),D(4,ー2)



 

 

課題・参考書について

 今日の内容は、1年前に書いた課題・参考書に関する記事の修正版です。

 在校生の人はあってないような春休み、新入生の人は入学準備で忙しい日々を過ごしていると思います。多くの学校(特に全日制)では、春休みの課題を出していて、始業式直後に課題テスト(英・国・数)というパターンになっていると思います。

 課題の中には、自分には難しすぎる問題もあるかもしれません。それでも、答えを写してもいいので体裁だけは整えておくほうが良いです。

 提出物を出すということは、観点別評価の意欲の部分(昔の平常点)にかかわってく

るからです。人は第一印象をなかなか変えづらいので、提出物が遅れて担当教員にずぼらな印象を持たれてしまうと、1年間悪く見られがちです。やはり最初は肝心です。

 解答を写したことを教員に知られないか、咎められないかという疑問については正直答えられません。「分からない問題を考えたけどできませんでした、と正直に言って空白が残って提出」と「とりあえず写して提出して、教員に自分の力でやったのかと言われること」について、どちらもよい点・悪い点はあるでしょうが、私は形を整えて提出というメリットを重視したいと思っています。

 「解答写すのも立派な勉強」と思うのですが、数学の教員は他教科に比べて、「自分で考えなさい」に固執し過ぎてる気がします。(私見)そのこだわりが減れば、生徒の悩みも減少するのになと思います。愚痴です。

 

 もう一つは参考書についてです。

 今年から、1~3年生すべてが同じ教育課程の教科書になります。

 ですので、本屋の数学Ⅰ(数学Aも併用して数学Ⅰ・Aとなってる本もある)に関する参考書は1種類(新課程と書いているものもあります)です。

 ただ、参考書代を安く上げようとして、ブック〇フのようなところに行くと、同じ数学Ⅰと書いていても、現在の内容と違うものがあります。どうしても古本屋で買いたい方は、特に目次をチェックしてください。そのとき、

 「仮説検定」という言葉があれば、現在の新課程です。

 これは、数学Ⅰの「データの分析」という内容の項目ですが、新課程にはこの仮説検定が加わりました。内容は今回述べませんが、この言葉を確認するとよいです。

 しっかりと新学期に向けた準備をして、良いスタートが切れることを祈ってます。

 

 

座標(3)・目盛りをできるだけ残さない方法

 数直線上に点をとるとき、このブログではこれまで、目盛りが準備された状態でとっていました。

 しかし高校の授業で、目盛りを1目盛りずつとって表すことは、ほとんどありませ

ん。正直面倒だからです。

 とはいえ、いきなり目盛りとらずに点とってください。と言われて戸惑う人がいるかもしれません。

 そこで今日は、ステップを踏みながら目盛りをできるだけ残さずに、数直線上に点をとる方法を話します。最初は面倒かもしれませんがお付き合いください。

 また説明では、各ステップでする作業を赤で、既に終わった作業を黒で示しています。ああ、これをやればいいんだな。という参考にしてください。

 準備するものは、15cmが測れるミニ定規、鉛筆、消しゴムです。

 では、数直線上にA(3),B(ー2)をとってみましょう。

 

 ① 定規を使って横方向に直線をかきます。このとき、10cmや8cmなど偶数でとると後が楽です。

   

 ② 直線の右側に矢印を、その右横にxとかきます。(右方向が+という意味合い)

   

 ③ 直線の真ん中に短い縦線をかき、その上に0(原点)をかきます。

 (このとき、直線を10cmの長さでかいていれば、5cmのところというようにして、原点がとりやすいです)

   

 ④ 定規の目盛りを使って(1cmおきなど)目盛りをかきます。

   

 ⑤ 目盛り1つ分を1として、点をとります。

   

 ⑥ 不要な目盛りを消しゴムで消します。完成です。

   

 慣れれば、④や⑥の作業は省略できます。また、上の例なら、AのほうがBより原点からの距離が大きいという感覚も分かってきて、フリーハンドでもかけるようになります。

 大学入試の数学の試験では、定規・コンパスを使うことはできないので、生徒にフリーハンドでかくことを求める教員もいると思います。でも、いきなりのフリーハンドはハードルが高いです。ですので、最初は理解の補助器具として定規を使い、分かってきたら定規の使用頻度を下げればよいと私は思っています。

 数学の教員は、学生時代数学を得意としてきた人が多いので、数学の苦手な人のつまずきをなかなか理解しづらいのではないでしょうか。こういうスモールステップが導入できたら、苦手な人も減るのではと思います。

 最後、愚痴っぽくなりましたが、目盛りをできるだけ残さない方法は参考になりましたでしょうか。