元数学教員・奉孝先生の「数学の欠点9割脱出法」

数学がすごく苦手だという高校生に、少しでもテストで点を取れる喜びを味わってほしいと始めました

1次関数のグラフ(4)・y切片とx切片

 1次関数の直線のグラフをかくには、まずy切片をとり、とった点から傾きを示した点(傾き3なら3/1と考えて、右に1、上に3進んだ点をとる)と結べばよいという話をしてきました。

 ただ前回も触れたように、教員によってはy切片はともかく、傾きをとらずに別の方法で指導する人も割と多いので紹介します。それが、タイトルにもある「x切片」を利用する方法です。

 y切片は、y軸上をグラフが通るときのy座標で、x=0のときのyの値です。

 対してx切片は、x軸上をグラフが通るときのx座標で、y=0のときのxの値です。まとめると、

 y切片→x=0のときのyの値、x切片→y=0のときのxの値

 〇切片→もう一方を0にする。とイメージしてもよいでしょう。

 この方法は、以前学習した1次方程式を解く必要がありますが、解法をマスターしているなら、解答のバリエーションが増えるので、参考にしたい人は見てください。

 では、y=2x-1のグラフをかいてみましょう。まずはy切片、x切片の求め方を示します。

  

 1行目、y切片は問題ないと思います。

 2行目、x切片を求めるために、与えられた式、y=2x-1のyのところを0に変えます。忠実に変えると、0=2x-1となりますが、3行目ここで左辺と右辺を入れ替えたら、2x-1=0となります。

 4行目、できた方程式を解いて、x=1/2と出てきました。これがx切片です。

 ではグラフをかくために、点をとってみましょう。

 y切片がー1です。ですのでy軸上にy座標がー1となる点をとります。

 x切片が1/2です。ですので、x軸上にx座標が1/2となる点をとります。(図1)

(図1)

  

 あとは、この2点を結べば完成です。(図2)

 ちなみに赤い点の座標は(1,1)で、y切片のところから傾き2(右に1、上に2)と一致しており、これまでのかき方でかいたグラフと同じことを示しました。(解答にかく必要はありません)

(図2)

  

 以下の話は、興味のある方だけ聞いていただいて結構です。

 このかき方は、方程式を解く面倒はありますが、もし数学Ⅱも勉強するなら覚えておいて損はありません。というのも、数学Ⅱでは「図形と方程式」という単元で直線の方程式を学ぶのですが、その際、直線の方程式はy=の形だけでなく、ax+by+c=0…(※)の形でかくことが増えるからです。ちなみにy=2x-1は2x-y-1=0という形で表します。(変形しただけです)

 この形で表すメリットは、直線の式をこの(※)の形1つで済ませられることです。直線はy=ax+bとx=pの形があるということを以前説明しましたが、この2つをax+by+c=0で統合できます。(例えばx=4はy=の形では書けないが、(※)の式でa=1、b=0、c=-4とすれば表せる)

 また、この形でy切片を求めるのに、いちいちy=と直さなくても、1次方程式さえ解けばx切片、y切片とも求められます。

 

 最後は発展的で面倒な話も出てきましたが、こういう考えもあるとだけ思っていてください。

1次関数のグラフ(3)・傾きが分数のとき

 分数が苦手という高校生をたくさん見てきました。

 小学生のときにつまづいたまま、ずっときた部分もあったと思います。

 そういう生徒でも、数学的な意味を伝えていけば、少しでも高校数学を理解することができます。今日はそのことを踏まえつつ、傾きが分数の場合の直線のグラフのかき方について説明します。例を見てみましょう。

 

 1次関数・直線のグラフは、傾きとy切片をおさえます。

 傾きが2/3、y切片がー1で、グラフはまずy切片からかくので、y軸上にy座標がー1になるところをとります。下の(図1)のようにとります。

 (図1)

  

 次に傾き2/3です。傾きの定義は(yの変化量/xの変化量)ですから、問題の式の後の説明に合った通り、xが3増えるとyが2増えるようにかきます。したがって、さっきとった点から右に3、上に2進めばよいです。(図2)

 (図2)

  

 あとは、とった2点をつなげて完成です。(図3)

 (図3)

  

 傾きの値が分数になっても、これまで通り傾きとy切片を確認して、y切片をとったのち、その点から分母の数だけ右移動、分子の数だけ縦移動したらよいです。

 え、傾きが分数でマイナスのときが心配?

 こういう心配のために、1つだけ例をあげます。

 ただ、グラフを一気にかいた後で補足説明の形にしますね。

 

 

  

 グラフは、まずy切片の2をy軸上にとります。

 傾きがー4/3ですが、符号の-はy側(分子)につけるのがポイントです。

 すると、xが3増えると、yは4減るとなりますので、y切片の点から右に3、(-がついているから)下に4進んだ点を取ればよいです。横方向は常に右に固定しておくと、最初の操作を間違えにくいのでよいでしょう。

 これで、1次関数の基本的なグラフのかき方の説明は終わりです。

 ただ、学校によってはy切片はともかく、もう1点のとり方を別の方法で説明しているところもあるので、その説明を次回したいと思います。




 

1次関数のグラフ(2)・傾きと係数(正負)の関係

 1次関数のグラフの続きです。

 1次関数は、y=ax+bの式で表され、aは傾き、bはy切片を表す数字であるということ。またグラフをかくときには、bにあたる数、y切片を示す点からかくとよいという話をしました。

 今回はグラフの形に関する補足、傾きと係数の関係です。

 ポイントとなるのはa、すなわち1次の係数です。

 前回かいたグラフ、y=2x+1を見てみましょう。(図1)

 (図1)

  

 xの係数(傾き)が2で+です。

 このときグラフは、xが増えるとyも増える形、右上がりの直線になっています。

 xの係数aが+ならば、グラフは右上がりの直線であることがいえます。

 逆の、グラフが右上がりの直線ならば、xの係数aは+ということも成り立ちます。

 では、y=ーxのようにxの係数aが-のときはどうでしょう。実際にかいてみます。まずは、傾きと切片がはっきり分かるよう、省略された数を明示します。

  

 傾きー1、y切片0と分かりましたので、グラフがかけます。

 グラフはy切片からです。y切片が0ですので、x=0のときy=0、つまり原点を通ります。原点をとります。(図2)

 (図2)

  

 次は傾きです。傾きー1、すなわち-1/ですから、xが1増えると、yは1減るということです。傾きのマイナスはyのほう(分子)につけて、xのほうはプラスに固定しておくと傾きがとりやすいです。

 ですので、最初にとった点の原点から右方向へ1、下方向へ1進んだ点、

(1,ー1)をとればよいです。(図3)

 (図3)

  

 最後にとった2点を結べば完成です。(図4)

 (図4)

  

 この直線は、xが増えるとyが減る形、右下がりの直線です。

 また式を見ると、xの係数aはーです。このことから、

 xの係数aが-ならば、グラフは右下がりの直線であることがいえます。

 逆の、グラフが右下がりの直線ならば、xの係数aは-ということも成り立ちます。

 まとめると次のことが言えます。

 

 今日は、xの係数aのところが+なら、右上がりの直線。

 xの係数aのところが-なら、右下がりの直線。ということが分かっていただければOKです。

 これは、+かーかが大事で、y=100xー1(傾き100)でも、y=0.02x+20(傾き0.02)であっても、傾きの数字が+なら値の大きさに関係なく、右上がりの直線になるということです。(傾きが-のときも同様に、右下がりの直線になります)

 傾きの数字の大きさは、傾きの度合いと関係しているのですが、それは別の機会に。

 今日は、色文字のところをしっかり覚えてください。

 



 


 

1次関数のグラフ(1)・基本の考え方

 今日は1次関数のグラフについて、グラフをかくとき式を見るポイントを説明します。流れは次の通りです。

 ①式に表れている数の意味

 ②グラフをかくときのポイント

 

 1次関数の式の形はy=ax+bで表され、グラフは傾きのある直線という話は、この回のブログで説明しています。(確認したい方は ↓ をどうぞ)

関数とグラフの形 - 元数学教員・奉孝先生の「数学の欠点9割脱出法」

 

 では、まずy=ax+bの式に出てくる係数、a、bはそれぞれ何を表すのでしょう。まとめたのが次の図です。

  

 新しい用語も出てきたので、具体例を1つあげて説明します。

 例えば関数の式が、y=x+としますと、グラフは傾き、y切片(せっぺん)の直線をかけばよいということになります。傾き、y切片の意味は言葉で書いていますが、実際のグラフとともに説明したほうがピンときやすいと思うので、グラフのかき方とともに図で説明します。

 グラフをかくときには、まず定数項、y切片の数字に着目します。

 y=2x+1ですと、数字だけのところ、つまり1です。

 この数字がy切片、すなわちx=0のときのyの値です。

 ですから、x=0のときy=1、つまり(0,)を通ります。この点をまずかきましょう。(図1)です。

 (図1)

  

 次に傾き(xの係数)を見ます。傾きは2です。

 まとめでは、yの変化量 / xの変化量 という書き方をしています。( / はわり算を表す記号)傾きが2は/と同じなので、xの値が1増えたとき、yの値が2増えるということになります。

 ですので、最初にとったy切片の点(y軸上の点)のところから、右方向に1進み(xを1増やした)、そこから上方向に2進んだ(yを2増やした)ところに点をとります。(図2)です。なお、矢印と数字は傾きの意味を分かりやすくするために入れているので、グラフにはかかなくてかまいません。

 (図2)

  

 すると2つの点がとれたので、あとはその2点を直線で結べば完成。(図3)です。

 (図3)

  

 今回は、傾きの概念を理解していただきたかったので、あえて方眼でグラフのかき方を説明しました。方眼なしのグラフのかき方は後述する機会があればやりたいと思います。(メインは2次関数なので、できれば1次関数はさらっとやりたいのです)

 とりあえず今日言いたかったこと。

 1次関数は、xの係数がグラフの直線の傾き、定数項がy切片を表している。

 グラフをかくときには、まずy切片からとる。

 このことを知っておいてください。

 




 

読んでいただきありがとうございます

 ゴールデンウイークも今日で終わりですね。

 6月に1回くらい祝日があればいいなと思ってます。

 3月3日が桃の節句、5月5日がこどもの日なら、6月6日は「おとなの日」とかどうですかね?梅雨や暑いときの気分転換になると思いますが。

 それはさておき。

 ほぼ数学だけのこのブログを読んでいただきありがとうございます。

 このたび、3000アクセスになりました。

 それも2000→3000までが約2か月と、1000→2000でかかった5か月と比べて、倍速です。

 最近は更新も滞っているのに、ありがたいことです。

 多分、1年生にとっては、数と式の最初にある計算のことが書いてるので、少しは参考になってるのかもしれません。

 関数は、グラフの作成など時間がかかるので(という言い訳)皆さんにとって必要な情報がすぐに書けずすみません。これまでグラフのことが全く分からなかった人にも対応できるように記事をまとめたいと思いますので、ゆったりお待ちください。

 最初の数と式のところは、高校入試を控えた中学生にも対応できると思いますので、そういう点からも使っていただければ幸いです。

 これからもゆるゆる書いていきながら、ほんの少しでも役立てたらと思っているので、よろしくお願いします。