元数学教員・奉孝先生の「数学の欠点9割脱出法」

数学がすごく苦手だという高校生に、少しでもテストで点を取れる喜びを味わってほしいと始めました

逆・裏・対偶(2)・もとの命題と対偶の真偽が一致

 今日は、前回話した真偽の判定に便利な発想の話です。

 まず、逆・裏・対偶の作り方の確認です。

 

 ここで、q⇒pの立場からみると、p⇒qはp,qの順番を入れ替えたので、q⇒pの逆になります。

 また、q⇒pはp⇒qの逆ですから、p⇒qとq⇒pは互いに逆の関係になります。

 このように、逆・裏・対偶は互いにもとの命題と逆・裏・対偶の関係になります。

 q⇒pを基準とした場合、次の関係が成り立ちます。

 

 では、否定のついた命題、p⇒qの裏を基準とした場合はどうでしょう。

 この場合も、同じように次の関係が成り立ちます。

 

 最初の注意点は、pの否定の否定はpに戻るということです。

 なお、p⇒qの対偶を基準にした場合も逆・裏・対偶を互いに作れます。

 この点を踏まえ、逆・裏・対偶の関係をまとめたのが次の図です。

    

 それぞれの逆・裏・対偶の関係性がイメージできたでしょうか。

 ところで、

 互いに対偶になっている関係は同じ色(黄緑またはピンク)になっていますね。

 実は、真偽の判定に便利な発想なのです。それは、

 「もとの命題と対偶は真偽が一致する」ということです。

 つまり、もとの命題が真だと対偶も真ですし、もとの命題の逆が真だと、逆の対偶にあたる裏も真になるということです。

 その理由を、p⇒qが真として説明します。

 p⇒qが真のとき、それぞれの条件を表す集合P,Qについて,P⊂Qが成り立ちます。ベン図では次のようになります。(補集合考えるので、全体集合Uもとります)

   

 ここで、Pの補集合を赤の斜線、Qの補集合を青の斜線でそれぞれ表して重ねます。

   

 赤のPの補集合の部分が青のQの補集合の部分より大きくなり、青の部分はすべて赤の部分と重なっている。すなわち、Qの補集合はPの補集合の部分集合です。つまり、

が言えます。

 今日は長くなったので、もとの命題と対偶の真偽は一致する。だけ覚えてください。

 次回以降、この考え方を使った真偽の判定を具体的にやっていきたいと思います。