元数学教員・奉孝先生の「数学の欠点9割脱出法」

数学がすごく苦手だという高校生に、少しでもテストで点を取れる喜びを味わってほしいと始めました

方程式とは何か

 今日から新しい内容、1次不等式に入ります。

 ですが、不等式を解くときに、方程式の考え方を身につけておくと理解が進みやすいので、まず方程式の話をしておきます。

 進学校向けの教科書はいきなり不等式に入っていますが、そうでない教科書は、まず1次方程式の復習を入れて、不等式につなげていることが多いです。特に教員生活の後半では1次方程式が入っている教科書をほとんど使っていました。

 ここまでの内容を読んで、方程式とか不等式、その前に1次という言葉がついてなんのこっちゃ?と思った人もいるでしょう。

 ですので、今日は「方程式」とは何かという話をします。

 もちろん、今日は練習問題はありません。

 なんとなく読み進めても問題ない内容もありますが、特に次の言葉に着目しておくと、今後の理解に役立つと思います。

 「左辺」・「右辺」・「両辺」・「方程式」「解」・「1次」 

 

 まず、次の式のように記号=(等号とよびます)で2つの式が結ばれている式を等式といいます。

 

 等式の左側の式を「左辺」、右側の式を「右辺」、左辺・右辺合わせて「両辺」といいます。

 この式は展開や因数分解の変形で出てきました。

 そして、この式の特徴は、文字xにどんな数字を代入(あてはめ)しても、等式が成り立ちます。このような等式のことを恒等式といいます。(恒等式については数学Ⅱで出るので、読み飛ばしてよいです)

 では、次の例を見てください。

 

 これも等号で結ばれていますが、今度はさっきの恒等式のように、xにどんな数字を当てはめても等式が成り立つわけではありません。適当にx=1を代入してみましょう。

 

 代入とは、文字xの代わりに、数字をあてはめることです。

 代入のときには、値が+の数字でもこのように( )をつけると、汎用性が高まります。(後日、説明する機会があります)

 左辺のxを1に変えて計算すると、ー4=0というとんでもない式が出来上がってしまいました。これはまずいです。

 そこで、xに違う数字をあてはめます。x=3を代入してみます。

 

 今度は計算結果が0=0となり、正しい式になりました。

 この2x-6=0という等式は、xに3という特定の値を代入したときだけ等式が成り立ちます

 このように、xに特定の値を代入したときだけ成り立つ等式方程式といいます。

 そして、等式が成り立つ特定の値のことを、方程式の「解」といいます。

 つまり、方程式2x-6=0の解はx=3ということができます。

 方程式と解がそれぞれどういうことか分かりましたか?

 なお、今後「方程式を解きなさい」といわれたら、等式が成り立つ特定の値(解)を求めてください。ということになります。その求め方はおいおい述べます。

 では、最後に1次方程式とは何かを説明します。

 この2x-6=0のように、左辺が1次式(もっとも次数が高いのが1である式)で、右辺が0で結ばれている方程式のことです。一般的に次のように表されます。

 

 左辺はxだけを文字としてみると、(xのついた式)+(数字)ですので、次数は1となり1次式となります。で、方程式ですので1次方程式とよばれます。

 なお、( )の中にある、=に斜め線が入っている記号ですが、「等しくない、~でない」という意味になります。「aは0でない」と読みます。もし、aが0だとxが消えてしまい、すうじだけになってしまうので、それを防いでいます。

 もし、左辺が2次式なら2次方程式、以下、3次方程式…と続きますが、これからはまず1次方程式を解いていきます。

 しかし、この1次方程式を解くにはパターンがあるので、次回からはそのパターンのもとになる理屈を説明します。今回は長くなりすみません。