今日から新しい内容、1次不等式に入ります。
ですが、不等式を解くときに、方程式の考え方を身につけておくと理解が進みやすいので、まず方程式の話をしておきます。
進学校向けの教科書はいきなり不等式に入っていますが、そうでない教科書は、まず1次方程式の復習を入れて、不等式につなげていることが多いです。特に教員生活の後半では1次方程式が入っている教科書をほとんど使っていました。
ここまでの内容を読んで、方程式とか不等式、その前に1次という言葉がついてなんのこっちゃ?と思った人もいるでしょう。
ですので、今日は「方程式」とは何かという話をします。
もちろん、今日は練習問題はありません。
なんとなく読み進めても問題ない内容もありますが、特に次の言葉に着目しておくと、今後の理解に役立つと思います。
「左辺」・「右辺」・「両辺」・「方程式」・「解」・「1次」
まず、次の式のように記号=(等号とよびます)で2つの式が結ばれている式を等式といいます。
等式の左側の式を「左辺」、右側の式を「右辺」、左辺・右辺合わせて「両辺」といいます。
この式は展開や因数分解の変形で出てきました。
そして、この式の特徴は、文字xにどんな数字を代入(あてはめ)しても、等式が成り立ちます。このような等式のことを恒等式といいます。(恒等式については数学Ⅱで出るので、読み飛ばしてよいです)
では、次の例を見てください。
これも等号で結ばれていますが、今度はさっきの恒等式のように、xにどんな数字を当てはめても等式が成り立つわけではありません。適当にx=1を代入してみましょう。
代入とは、文字xの代わりに、数字をあてはめることです。
代入のときには、値が+の数字でもこのように( )をつけると、汎用性が高まります。(後日、説明する機会があります)
左辺のxを1に変えて計算すると、ー4=0というとんでもない式が出来上がってしまいました。これはまずいです。
そこで、xに違う数字をあてはめます。x=3を代入してみます。
今度は計算結果が0=0となり、正しい式になりました。
この2x-6=0という等式は、xに3という特定の値を代入したときだけ等式が成り立ちます。
このように、xに特定の値を代入したときだけ成り立つ等式を方程式といいます。
そして、等式が成り立つ特定の値のことを、方程式の「解」といいます。
つまり、方程式2x-6=0の解はx=3ということができます。
方程式と解がそれぞれどういうことか分かりましたか?
なお、今後「方程式を解きなさい」といわれたら、等式が成り立つ特定の値(解)を求めてください。ということになります。その求め方はおいおい述べます。
では、最後に1次方程式とは何かを説明します。
この2x-6=0のように、左辺が1次式(もっとも次数が高いのが1である式)で、右辺が0で結ばれている方程式のことです。一般的に次のように表されます。
左辺はxだけを文字としてみると、(xのついた式)+(数字)ですので、次数は1となり1次式となります。で、方程式ですので1次方程式とよばれます。
なお、( )の中にある、=に斜め線が入っている記号ですが、「等しくない、~でない」という意味になります。「aは0でない」と読みます。もし、aが0だとxが消えてしまい、すうじだけになってしまうので、それを防いでいます。
もし、左辺が2次式なら2次方程式、以下、3次方程式…と続きますが、これからはまず1次方程式を解いていきます。
しかし、この1次方程式を解くにはパターンがあるので、次回からはそのパターンのもとになる理屈を説明します。今回は長くなりすみません。