元数学教員・奉孝先生の「数学の欠点9割脱出法」

数学がすごく苦手だという高校生に、少しでもテストで点を取れる喜びを味わってほしいと始めました

因数分解第13回・たすきがけ(1)

 いよいよ、高校の因数分解を感じられる「たすきがけ」です。

 どうして「たすきがけ」と呼ばれるかは次回以降に話します。今日はとにかく、「こうやってやるんだな」という流れを見てください。

 この因数分解は原則、2乗の項の係数が1でない2次式因数分解に使います。例えば次のような式ですね。

 

 係数は3、7、2で同時に割れる数はなく、各項に共通する文字もなし。つまり共通因数がありません。次に(2乗)-(2乗)でないので、和と差の積の公式も使えません。さらに、2乗の項の係数が1でないので、これまでやってきた「かけて定数項~」も使えません。このようなとき、次からやる「たすきがけ」という方法を使います。

 説明のため、1ステップずつ説明の後に式をのせます。また、ステップごとの新たな作業について色を付けているので参考にしてください。

 

 ① かけて2次の項の係数(この場合は3)になる2つの数を縦に並べます。

  (このとき、2次の項の数の下にそろえて書きます)

 

 ② かけて定数項(この場合は2)となる2つの数を縦に並べます。

  (同じく、定数項の数の下にそろえて書きます)

 

 ③ 図のように×印を書きます。

 

 ④ 結んだ数字同士でかけ算し、その結果を書きます。

 

 ⑤ ④で求めた2つの数字をたします。

 (③~⑤をまとめて、「ななめにかけてたす」と言います)

 

 ⑥ ⑤で求めた数が、1次の項の係数と同じならOKです。

 (違ったときの方法は次回以降で)

 

 ⑦ (xの式なので)前の数にxをつけて横に式を読み、2つ式を並べれば答です。

  

 これで答は、(x+2)(3x+1) になります。

 この因数分解の流れとして、数字の着目点を示したのが以下の図です。

 

 「①かけて前②かけて後③ななめにかけてたしたら真ん中

 このリズムを覚えるとともに、どの数字に着目したらよいか分かるように数の位置をそろえる(①・②のところ確認)ことをまずは意識してください。

 次回から本格的に「たすきがけ」をやっていきます。それまで今日やった流れを覚えてください。