前回 ↓ の続きです。
不等式の性質(1)・等式の性質と似てるところ - 元数学教員・奉孝先生の「数学の欠点9割脱出法」
前回は不等式の両辺に、同じ数をたしてもひいても不等号の向きは変わらない。ということでした。
そして、今日はかけ算・わり算ですが、不等式の性質で特に重要なポイントがあります。結論から先に言っておきます。
不等式の両辺に、①負(マイナス)の数を、②かけたり割ったりしたときには、
不等号の向きが変わる。
です。
では、前回も使った桃鉄の資産で説明してみます。
まずは、プラスの数をかけたり割ったりした場合の説明です。
A社長が4億円、B社長が6億円持っていたとします。
4億<6億 ですよね。
ここで、2人とも資産が3倍ずつになったとします。
A社長:3×4億=12億、B社長:3×6億=18億
すなわち、3×4億<3×6億で、同じ+の数をかけても、B社長のほうが資産が多い。つまり不等号の向きは変わりません。
次に同じプラスの数2で割る。資産が半分になるケースを考えます。
A社長:4億÷2=2億、B社長:6億÷2=3億
すんわち、4億÷2<6億÷2で、やっぱりB社長のほうが資産が多く、不等号の向きは変わりません。これを式にしたのが次のものになります。
特に、c>0(cは+の数)というのを確認しておいてください。
では今日の大事なポイントに移ります。
A社長が4億円、B社長が6億円持っていたとします。
4億<6億 ですよね。(不等号の向きは右側です)
ここで、今の資産の2倍の借金をなすりつけられたとします。ともにー2倍です。
A社長:(-2)×4億=ー8億、B社長:(-2)×6億=-12億
借金が少ないほうが資産は多いので、ー8億>ー12億が成り立ちます。
不等号の向きが左側に変わりました。
すなわち、(-2)×4億>(-2)×6億で、同じ-の数をかけると、逆転してA社長のほうが資産が多くなります。つまり不等号の向きが変わってしまいます。
では、負の数ー2で割った場合をみてみましょう。ー2分の1倍と考えれば、マイナスの数をかけたから不等号の向きが変わる。としてもよいのですが、念のため。
A社長:4億÷(ー2)=ー2億、B社長:6億÷(-2)=-3億
ー2億>ー3億ですので、やはり不等号の向きは変わりました。このことを式に表したのが次です。
特に大事なのがアンダーラインを引いたところです。
不等号の向きが変わるのは、①マイナスの数で、②かけたりわったりした ときだけです。つまり、①と②の両方の条件を満たしてないといけません。
いいかえれば、①マイナスの数で、②かけたりわったりしたとき以外は不等号の向きが変わらないということです。不等号が変わるほうがレアケースということです。
ですので、不等号の向きが変わる条件だけを覚えて、あとは変わらないと理解するのがよいです。今日のまとめです。
「不等号の向きが変わるのは、両辺に
①マイナスの数を、②かけたりわったりしたときだけ。あとは変わらない」
このことをしっかり覚えて、実際に不等式を解いていきましょう。