元数学教員・奉孝先生の「数学の欠点9割脱出法」

数学がすごく苦手だという高校生に、少しでもテストで点を取れる喜びを味わってほしいと始めました

因数分解第11回・2次式の因数分解(3)

 2次式の因数分解のやり方は、少しずつ身についているでしょうか。

 今日は少しレベルを上げて、1次の係数が-の場合をやります。

 でも原則は変わりません。

 かけて定数項、たして1次の係数となる2数を見つける。がポイントです。

 さっそく、例題を見てみましょう。

  

 共通因数なし、(2乗)-(2乗)でないから、和と差の積の公式は使えない。

 2乗の係数が1の2次式だから、かけて…となる次のパターンにできます。

 

 つまり、○×□=6、○+□=ー5となる2数○、□を見つけたらよいです。

 では、○×□=6となる2数を九九から探しましょう。

  

 ん?、この2つの組み合わせでは、たした結果は7と5ですから、希望のたしてー5にはならないですね。

 でも、2つの数をかけて+になるのはともに同じ符号であればよいです。

 つまり、+同士の場合だけでなく、-同士でもかけたら+になります。

 なので、この組み合わせにともに-をつけてみましょう。

  

 ー2とー3を組み合わせれば、たして1次の係数ー5になりますね。

 よって答は、このー2、ー3を (x+○)(x+□) の○、□にあてはめて、

 

 となります。

 かけて定数項、たして1次の係数という原則は全く変わっていません。

 そのうえで次の思考パターンを知っておくと、2数を求める際に候補を絞りやすくなるので、次を見てください。

 ① かけて6になる2数をとりあえず+同士で出そう。(1と6か2と3)

 ② でも+同士だと、たしたら+にしかならないからダメ

 ③ -同士の組み合わせなら、かけて+だし、たしたら-だから両方の数字に-をつけよう(ー1とー6かー2とー3)

 ④ たしてー5となるのはー2とー3。

 特に注目してほしいところは、①のまず+の九九でだして、②・③に続く+同士だとたしても+しかならないから、-つけたらいい。という発想です。

 この「まず+の九九で考えて、あとから符号を調節する」という考え方は、2次式の因数分解では役に立つ考え方です。次の練習問題でやってみましょう。なお、どの数字をどう利用したらよいかも答の後に示しています。

 (練習問題)次の式を因数分解しなさい。

 

 (答)

 

 (考え方補足)

 

 次回で、2次の項の係数が1の因数分解は、とりあえず最後となります。

 この項目の卒業を目指して、あとひと踏ん張りしましょう。