元数学教員・奉孝先生の「数学の欠点9割脱出法」

数学がすごく苦手だという高校生に、少しでもテストで点を取れる喜びを味わってほしいと始めました

集合とは

 第1部の「数と式」のジャンルが終わってから考えること3日。

 次の内容は「集合と論理」の単元にしました。理由は、

 ① 「数と式」のすぐ後にこの内容がある教科書がいくつかある

 ② 集合は「数学A」にもある内容で、現在数学Aを学んでいる人にも対応できる

 ③ 集合と論理の内容の中に、時期的に(秋~冬にかけて)生活に密着している内容がある

 そしてもっとも大事なのが、分量が他の単元(関数・三角比)に比べて少ないので挫折しそうになっても最後まで行ける確率が高い。からです。

 人間、いつ調子崩すか分かりませんし、短くても1単元やりあげるということが大事だと思いましたので。

 

 では、集合の話に入ります。

 「集」という字、集まるという意味の言葉が入っていることから分かるように、集合とはざっくり言えば「ものの集まり」です。「クラスの集まり」とか「仲良しの集まり」とか何人かがグループになって寄ってきた、とかイメージはつきやすいでしょう。

 しかし、数学の世界では「集合」といえば、条件を満たさないものの集まりは「集合」とは認めません。その条件とは、

 「ものの集まりに入るか入らないかが、誰が見ても明確に判断できること」です。

 例えば、「背の高い人の集まり」というのは集合になりません。

 理由は、「背が高い」という基準があいまいだからです。

 身長170cmの女性がいたとしましょう。

 厚生労働省が発表している令和元年の「国民健康・栄養調査」によると、20~30代の女性の平均身長は約158cmだそうです。ですので、多くの会社ではこの女性は背の高いほうに入るでしょう。(「多くの」という言葉も数学的にはあいまいですが)

 しかし、この女性が日本代表のバレーボールチームの中に入ったらどうでしょう。

 170cmより高い選手がほとんどです。この女性は、バレーボールチームの中では背が低いほうになるでしょう。つまり、集まってきたメンバー次第で高いほうにも低いほうにもなりえる。というのはダメなのです。

 これが、「身長160cm以上の人の集まり」といった場合は、集合として認められます。「身長160cm以上」という入るか入らないかという客観的で明確な基準があるからです。この女性はこの集合に入れますし、158cmの人は入れないからです。

 そういったわけで、「イケメンの集まり」とか「かわいい人の集まり」というのも集合ではありません。「イケメン」とか「かわいい」も人によって基準違いますから。

 今日のまとめ。

 集合とは、入るか入らないかの基準がはっきりしているもののこと。

 これから詳しくやっていきたいと思います。