元数学教員・奉孝先生の「数学の欠点9割脱出法」

数学がすごく苦手だという高校生に、少しでもテストで点を取れる喜びを味わってほしいと始めました

p⇒q型の命題の真偽(1)・部分集合の考え方で判定する

 今日から本格的に、命題の真偽の判定をやっていきます。

 ただ、「2は偶数である」とか「1は素数である」のような、単純な○×問題はほとんど出ません。(どうしても点を取らせるという意味合いで出すかもしれませんが、「なめとんのか」と思う生徒もいるでしょう)

 多くの真偽判定問題では、「pならばq」という形で出されます。

 pの条件を満たしているものはすべてqの条件を満たしていますか?と聞いてきます。例えば、次のような形です。

 「4の倍数ならば偶数(である)」

 なお、問題では「ならば」の部分を「⇒」の矢印を使って表すことが多いです。つまり、上の例では「4の倍数⇒偶数」のように、「p⇒q」の形で表します。

 ちなみに、pの部分を仮定、qの部分を結論と言います。(絶対にこの言葉を覚えなくてはいけないというものではないです)

 そして、この形の真偽を判定するときには次の考え方を使います。

  

 ん?一瞬何のことを言っているの?と思った方もいるでしょう。

 例題「4の倍数⇒偶数」で考えてみます。

 要は⇒の前の部分(ここでは「4の倍数の集合」)を集合P、⇒の後ろの部分(ここでは「偶数の集合」)を集合Qと考えてください。

 そして、P⊂Qが言えたら、聞かれてる命題は真だと言っているのです。

 まず前の部分、「4の倍数の集合」Pを書き並べてみます。(分かりやすく自然数だけ書いてみます)

 P={4,8,12,…}

 次に「偶数の集合」Qを書き並べてみます。

 Q={2,4,6,8,10,12,…}

 すると、Pに入ってる4,8,12,…はすべて偶数の集合に入っています。

 (そもそも、4の倍数になるためには偶数でないといけないのですが)

 つまり、P⊂Qが言えたので、命題「4の倍数⇒偶数」は真といえます。

 ベン図で表すと次のようになります。

  

 左の図が一般的な考え方を示したもので、右の図がPを4の倍数の集合、Qを偶数の集合として考えたものです。

 なお、わざわざ集合を作って答えるのは記述式のときくらいで、多くは真偽の判定だけすればよいので、とりあえず⇒の前の条件の集合が⇒の後ろの条件の集合の部分集合になってるか(前を満たしてたら後ろを満たしている)を判定できればそれでよいと思っていてください。それが結構難しいですが、いくつか問題を解いて感覚をつかんでください。その練習は次回以降やります。