元数学教員・奉孝先生の「数学の欠点9割脱出法」

数学がすごく苦手だという高校生に、少しでもテストで点を取れる喜びを味わってほしいと始めました

条件の否定(4)・「すべて」と「少なくとも1つ」の否定

 条件の否定としては少し面倒ですが、この考え方を知っておくと、特に数学Aの確率の分野「余事象」というところで役に立つので書いておきたいと思います。

 ちなみに余事象の意味ですが、「~する確率」に対して「~しない確率」を求めるとき、もとの余事象の確率を求めたといいます。

 では、今回のテーマについて、次のような例を考えてみましょう。

 あなたは、縁日の輪投げコーナーに行きました。

 輪を3回投げてその結果によって賞品がもらえるのですが、

 ① 1回でも入れば粗品がもらえる。

 ② 3回とも入れば、いい景品がもらえる。 だったとします。

 そのとき、賞品をもらえない場合、つまり否定の条件を考えようということです。

 まずは①です。

 3回投げたうち1回でも入れば賞品をもらえます。

 こういうケースを、「3回のうち少なくとも1回入る」と言い換えられます。

 この「少なくとも1つ~」という言い方は今後もよく出てきます。覚えましょう。

 ということは、賞品をもらえないのは、

 「3回とも入らない」ケースということになります。

 これを言い換えると「(3回とも)すべて入らない」とできます。

 まとめると、

 「3回のうち少なくとも1回入る」の否定は「(3回とも)すべて入らない」です。

 ポイントは太字の部分、「少なくとも1回」「すべて」に変わり、

 アンダーラインのところが「入る」から「入らない」と否定されていることです。

 

 では、②のケースで賞品をもらえないのはどんなときでしょうか。

 まず賞品がもらえる場合を「すべて」を使って書き表すと、

 「(3回とも)すべて入る」です。

 ということは、3回中1回でも入らなければ賞品はもらえません。

 これを「少なくとも1回」を使って表現すると、賞品をもらえないのは、

 「(3回中)少なくとも1回入らない」ことになります。

 ①で述べた点に着目すると、

 「すべて」「少なくとも1回」に変わり、アンダーラインのところが「入る」から「入らない」と否定されています。

 この、①・②のことから、「すべて」や「少なくとも1回」が入った条件の否定は、まとめると、次のようにするとよいことが分かります。

  

 身近にありそうな例から、否定の作り方のイメージは身につきましたか?

 今回は練習問題はありませんが、この考え方を覚えておけば、今後役立つことがあると思います。数学では確率のときに。人生でも判断基準の一つとして使えるでしょう。