元数学教員・奉孝先生の「数学の欠点9割脱出法」

数学がすごく苦手だという高校生に、少しでもテストで点を取れる喜びを味わってほしいと始めました

必要条件・十分条件の身近な使用例(2)・推薦入試の条件から考え方を学ぶ

 必要条件・十分条件について、定義を示したのちに、もう少しみなさんにかかわりが深そうな話題で伝えていきたいと思います。

 まず、必要条件・十分条件とは何かを定義します。

   

 なんのこっちゃ。しかもわけ分からないのに覚え方イメージだと?と思った人もいるでしょう。ですので、高校生になじみのある話題でいきたいと思います。

 みなさんの中には、推薦入試を使って大学や専門学校への進学を考えている人もいるでしょう。

 現在は推薦のための要件がボランティア活動など色々増えてきていますが、昔から続く代表的なものと言えば、スポーツ推薦をはじめとする部活の成果を使うものです。

 個人的には、部活の成績推薦には否定的な気持ちが多いのですが、現にありますし、このことを使った説明がすんなりいくので使わせていただきます。(なお、否定的な思いは ↓ の記事に書いてあるので興味があれば読んでみてください。) 

部活〇カにならないで - 元数学教員・奉孝先生の「数学の欠点9割脱出法」

 

 では最初の例です。ある大学では全国大会ベスト8に入れば推薦入試が受けられるとします。

 そこに、全国大会優勝の選手が推薦入試を受けたいとやってきました。

 推薦に必要な条件はベスト8ですので、優勝だとこれ以上ない十分すぎる条件です。

 ここで、ベスト8と優勝の関係をベン図で示してみましょう。

  

 条件pとして「優勝」をみたす集合をP、条件qとして「ベスト8」をみたす集合をQとすると、P⊂Qが成り立ちます。したがって、命題p⇒qは真となります。

 ここで、優勝はベスト8をみたすには十分すぎるといったことを思い返してください。このことと結びつけると十分条件とイメージできるのではと思います。

 では、逆のケースを見てみましょう。

 ある選手は、大学から「大会に優勝したら授業料免除で入学させるよ」と言われました。そして、ベスト8までは勝ち上がってきました。

 しかし、大学の求める条件の優勝にはまだ届いてないので、条件を十分満たしているとは言えません。優勝の前段階、最低限必要なベスト8になったというだけです。

 ですので、命題q⇒pは真ではありません。ただ、逆のp⇒qは真なわけです。

 このことと、さっき述べた最低限必要という発想と結びつけると必要条件とイメージできるのではと思います。

 ところで、赤で囲った部分にあった覚え方イメージですが、これは教員によっていろいろな教え方をしていたようです。この話は、問題を解くときに説明したいと思います。今日はこのあたりで。