元数学教員・奉孝先生の「数学の欠点9割脱出法」

数学がすごく苦手だという高校生に、少しでもテストで点を取れる喜びを味わってほしいと始めました

p⇒q型の命題の真偽(3)・反例の見つけ方

 今日は、命題が偽であるときの反例の見つけ方の話です。

 この問題が解けるようなら、命題の内容はかなり分かっていますし、欠点ぎりぎりの心配など無用です。

 まずは、反例とは何かの確認です。

 反例とは、p⇒q型の命題が偽のときpはみたすがqをみたさない例のことです。

 上に書いた、「命題が偽」で、「pはみたすが」の部分に気をつけてください。

 また、反例は1つ示せばよいです。たくさんあっても1つでいいです。

 女子会に1人でも男子が混じってたら、女子会になりませんからね。

 (余談ですが、女性だけあるいは女性と一緒に来た男性だけが入れるカフェに、女性1人、男性3人で入ったことがある人を知っています。まあ、それはさておき)

 では、例題です。

 「x>0⇒x>2」

 すごく砕いた言葉だと、0より大きい数は(みんな)2より大きい。と言ってます。

 ん?1は0より大きいけど、2よりは大きくないから偽じゃない?

 そう考えた方、素晴らしいです。

 しかも、1は反例になっています。こういう感覚、大切にしましょう。

 では、説明です。x>0をみたす集合P、x>2を満たす集合Qとします。図示すると、

  

 真ならば、PはQの中にすっぽり入ってないといけませんが、PはQからはみ出しています。つまり、命題は偽です。そして反例は、このはみ出した部分から答えます。

  

 ですので、反例は1とか0.5など、上図の赤ラインのところにある数字ならOKです。

 もう一つ例を出します。

 a,bは実数とする。「a+b>0⇒a>0かつb>0」

 これも砕いた言葉だと、2つたして+になっているなら、もともと2つの数はどっちも+だった。です。

 これは少し迷うかもしれませんが、結論は「偽」です。

 ポイントは、「後ろ(q)を否定しても、前(p)が成り立つことがあるか」と考えます。

 条件qは「a>0かつb>0」ですので、これを否定すると「a≦0またはb≦0」です。つまり、a、bともに+でなくても、2つたしたら+になることがあるか?と考えます。

 すると、+同士のたし算だけでなく、+とーの組み合わせでも、+の数がーの数より大きければたせば+にできます。なので、そのような組み合わせを答えれば反例です。

 反例として、a=3、b=ー1が出てきます。(a、bの順が逆でも、+の数のほうが大きければ反例として成立します。また、a=0,b=1など一方が0、もう一方が+でもよいです)

 このように、反例の数字は難しい数字をあげる必要はありません。

 2とー1とか、3とー3のように符号が違うけど近い数字の組み合わせとかで、たいてい見つかります。反例を見つけるときの参考にしてください。

 なお、例題のアンダーラインを引いてた部分、「a、bは実数」についてですが、これがないと、数学Ⅱ以降に出てくる虚数(2乗してー1になる数)の概念が入ったときに困るので書いてあります。数学Ⅱも習うという人は、頭の片隅に置いておいてください。では、練習問題です。

 (練習問題) 次の命題は偽である。反例を1つあげなさい。

 

 (答)